身の周りでさまざまな値上げのニュースを聞く機会が増えました。
原材料や物流料の高騰などで、色々な物が高くなったと感じる方も多いのではないでしょうか。
色々な物価が高騰している中で、診療報酬の改定で「ベースアップ評価料」という項目が追加されました。
スタッフの賃上げにも関わってくベースアップ評価料は申請が必要で条件などもあります。
そこで今回は、2024年ベースアップ評価料と賃上げの重要性についてご紹介します。
診療報酬の改定とは?
診療報酬の改定は、毎年少しずつ内容や点数が変更され、大幅な改定は基本的に2年に1度行われます。
診療報酬は、保険治療を行う際に細かく決められており、「算定できる期間」「算定できる条件」などが定められています。
医療機関の診療報酬も社会の経済状況や社会情勢によって変化して、「項目が追加・削除される場合」「点数が変わる場合」「算定条件」や「施設要件」が変わる場合など、様々です。
ベースアップ評価料とは?
政府が目標としている賃上げの目標は、令和5年度より令和6年度が2.5%、令和7年度は2.0%です。
この目標を達成できると、令和5年度と比較すると令和7年度には4.5%のベースアップを目標にしています。
また、この賃上げをすることによって「ベースアップ評価料」を算定することができます。
ベースアップ評価料は、給与総額に対して最大2.3%です。
令和6年度も令和7年度も同じ評価額になります。
全てのベースアップした費用をカバーすることができるわけではありませんが、賃上げは働いている方にとってのモチベーションにつながります。
特に歯科は離職率の高い傾向があるといわれています。
スタッフ不足が多く、求人を募集しても中々人が集まらないといわれている中で長く働きたいと思える環境作りができているクリニックは充実した対応ができるのではないでしょうか。
ベースアップ評価料は届け出が必要?
ベースアップ評価料を算定するためには、届け出が必要になります。
「ベースアップの2.5%や2%は難しい……。」
とお悩みの場合には、令和6年:2.5%、令和7年:2.0%の賃上げを達成しなければいけない条件があります。
それは、40歳以上の勤務医師・勤務歯科医師・事務の方も対象にする場合です。
そのため、薬剤師・看護士・管理栄養士・歯科衛生士・歯科技工士・その他医療従事者のみを対象にする場合は関係ありません。
この点は詳しい施設要件を読み込まないと分かりにくい内容になっています。
スタッフの定着率アップのために
クリニックを経営していく中で、スタッフの採用・定着は大きな課題になっています。
患者さまが順調に増患しても、スタッフがいないとアポイントを入れることができません。
また、採用ができても、そのクリニックによって細かいやり方や方針が違うことも多いため、仕事を教える時間も必要です。
同じスタッフが長く働いてくれることは、クリニック経営にとっても重要なポイントです。
当院では、ライフスタイルが変わっても働き続けられるように約3ヶ月の産休期間と約10ヶ月の育休期間を設けています。
女性はライフステージによって生活環境も変わり、職場に求めることも変わってくると思うので、できるだけ対応できるような体制を整えています。
また、有給休暇を自由に取得することできるため、家族との時間や海外旅行などをすることも可能です。
地域包括システムも改定ポイント
医療機関と介護施設や在宅医療が連携を取って相互にサービスを受けながら患者さまの日常を支えるために地域包括システムが大切です。
在宅医療は、高齢や病気、障害などがあっても住み慣れた地域に住み続けることができるようにサポートしていきますが、令和6年の診療報酬の改定ではより一層の充実が挙げられています。
高齢の方が増えていくにしたがって、自宅で安心に過ごすことができるように地域で連携してネットワークを整えることが大切です。
そのために、ほかの診療科に情報を提供することで、診療報酬の加算ができるようになります。
ケアマネージャーからの情報提供に対しても加算点数が設けられているため、医科と歯科の連携だけでなく、介護も連携して地域包括システムの充実をはかっています。
歯周病と糖尿が密接に関係していることや口内環境が悪化すると十分な栄養を摂取することが難しく、体力や免疫力が低下することなどもあり、歯科と医科の連携も重要と考えられています。
ベースアップ評価料を取り入れて働きやすい環境を
やりたいことや目標達成などもありますが、働く環境の中でお給料や休日は大切なポイントです。
ベースアップ評価料の加算によって、スタッフの給与のアップをすることができ、モチベーションアップにつながるでしょう。
長い間働いてもらうことはクリニックにとって大きなメリットですし、働きやすい環境を整えることも大切だと考えています。
当院は、一緒に働いてくれるスタッフの働きやすさを考えて、全スタッフの賃上げを行います。